【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
一瞬、何が起こったのか分からずパニックになるけど。
抱きしめられているんだと分かった瞬間、全身が熱く熱を帯びた。
……このドキドキ、絶対に立花くんにも聞こえてるよね?
「ずっと触れたかった。おまえに。おまえ俺のこと、避けるし」
「……っ」
耳元で囁かれるとくすぐったくて、わたしは思わず身をよじる。
……たしかに、気まずかったけどさ。
「避けてなんか…。立花くんこそ……わたしに関わらないって、」
「なぁ、成田」
「え?」
話を遮るようにして、わたしの名前を呼ぶ声。
ベッドが軋む音とともに、私の髪をとても愛おしそうにすく手。
「押してダメなら引いてみろ、って言葉、知ってるか?」
……え?
トドメを刺すかのようにふっと耳に息を吹きかけられる。
わたしがパッと体を離してその顔を見ると、
ニッと意地悪く歪むその目。