【完】立花くんは愛し方を間違えてる。




視界の端にフッと満足そうな笑みをこぼす立花くんが映って。


それを見て胸がきゅっとなる。




わたしはそれが、なんだか悪くない気がしていた。





ほんとうは、意地悪するのはわたしが好きだからなの? って。


立花くんは本当にわたしのこと、好き? って。




聞きたかったけど、もうそんなことはどうでもいいの。




わたしを抱きしめる手が。


その力が。

その表情が。

熱のせいかもしれないけど、さっきよりも暑い体温が。




その全てが、物語っているような気がしたから。






ずるいよ、立花くん。





───いや、ずるいのは、わたしの方かもしれない。




こうやって立花くんのシナリオ通りになってるふりをして。


本当はわたしのほうが、ずっときみを追いかけてた。





……でももう、ズルくてもなんでもいいの。



わたしだって、立花くんが欲しい。


どうしようもなく。




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