【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
どうしたんだろ? と顔を見ようとするけど、一層強い力で抱きしめられたせいで身動きが取れない。
く、苦しいよ……立花くん……
「……おまえにしかしねーよ」
「え?」
「こんなに好きになったのも、こんなことするのもおまえが初めて」
「え」
「…言わねぇんだぞ、俺は普段こんなこと」
と、照れた顔を隠すように顔を埋めてくる。
わたしだって、初めてだよ。
こんなに胸がぎゅっとなるのも。
男の人を可愛いと思うのも。
きっとまだ、わたしの知らない立花くんがたくさんいて。
それを知っている子が、たくさんいて。
例え、そうだとしても。
……こんな風に照れている立花くんの顔は、わたしだけが知っていればいい。
他の誰にも、見られたくない。
付き合えただけでも奇跡みたいなのに。
そう、思ってしまうわたしは欲張りなのかな……?