【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
まさかとは思うけど、"大事な子"とか言ったりするんじゃ……!
そ、そんな……!
「教科書」
……へ??
「"大事な教科書"って、なによ玲〜」
「ひみつ」
不敵な笑みを浮かべたかと思えば、ちらっとわたしを見て。
"ばーか"
と口パクで言ってきた。
まるで、わたしが一瞬、無駄な期待をしちゃったのも全てお見通しのように。
「……っ!」
その瞬間、自分の頬がカアァと熱くなるのがわかった。
恥ずかしい、恥ずかしい、消えてしまいたい。
そのままわたしは、小走りでその場を立ち去った。
立花くんのいじわる! あくま!
そんな意地悪なこと言っておいて、どうせ今日もまた教科書見せてって言ってくるんでしょ!!
「…もう見せてあげないんだから……」
わたしはこのとき、心に決めた。
もう絶対、立花くんになんか教科書見せてあげない。
わたしは、立花くんの教科書じゃありません!!