【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
い、行っちゃった……
っていうか今、すす、好きな子がいるって!?
わたし、そんな話聞いてないよ!
いつのまに湊は、そんなおませさんに……。
「あはは、湊、わたしたちに気を使ってくれたみたいね」
って、笑いながら言ってみたけど。
よく考えたらこれって、部屋に二人きり、だ。
状況が状況なだけに、カァァと一人赤くなっていると、立花くんがふ、と微笑む。
だけど、めずらしく意地悪は言ってこなかった。
ぱ、と目が合うと。
少し緊張して、瞬きを忘れる。
「もっかい呼んでみ? 俺の名前」
薄い唇がゆっくり動くのが、スローモーションのように見える。
名前……な、名前!?
「た、立花くん……?」
「違う。"玲"」
え、あ、下の名前で!?