【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
黒いツノとしっぽを生やして、魔王っぽい格好をした立花くんが、数千匹の手下の悪魔を従えているところまで想像できた。
……だって、こんな二択ないよ。
どっちも嫌なんだもん、わたし!!
1時間のキ、キスなんて想像すらできないよ。
つい最近、はじめてキスをしたばかりだというのに。
で、できるわけがない。
……でも、無視はもっといや。
一時期、気まずくなったあの時みたいに逆戻りするのは、絶対に。
「……決まった?」
人が真剣に悩んでいるというのに、ニコニコしているこの人は本当に魔王の鑑。
「……無視されるのは、嫌」
「じゃー、キスになるけど、いーの?」
いいの? って。
自分から二択を与えておいて、ずるい。
「キスも……やだ……」
「拒否権なんてねーよ」
知ってるよ。