【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
当たり前のような顔をして、机をくっつけ始めた立花くん。
い、言うしかない……よね……
「あ、あのさ、立花くん…」
「ん? なに?」
「大変申し上げにくいんだけどさ……」
「なんだよ、気持ちわりーな」
「……数学の教科書、忘れちゃいました」
「はぁぁ?」
呆れたような声出してるけど、いつも忘れてるのはそっちだからね!
って言いたいけど、
"もう立花くんに教科書見せない"
なんて誓いを立てたのに、教科書を自ら忘れるという自分が不甲斐なくて。
「ごめんね……」
「成田のドジ。ばか。まぬけ」
「うう……」
もう、なんとでも言ってください。
「ったく、しょーがねーな。…ま、今回ばかりは仕方ねーか」
立花くんがふいにそう呟いたかと思えば。
カバンをガサゴソと探り始め、次の瞬間には、その手に握られている数学の教科書。
───え? す、数学の教科書??
「俺の、見せてやるよ、トクベツにな」