【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
って、えええええ!!??
「なっ……なんでなんで、なんで持ってるの?? 教科書っ」
「あー? うるせーな。持ってるもんは持ってるんだよ」
「……だ、だって、今日もわたしの見る気満々だったよね!?」
「そりゃー……」
めずらしく言葉に詰まった立花くんを見て、わたしはハッとした。
脳裏をよぎる、今までの記憶と、導き出されたひとつの可能性。
まさか……
「───まさか、今までずっと、忘れたフリしてたの?」
「……!」
立花くんの動きが止まった。
そのことで、疑惑は確信へと変わる。
し、信じられない……
どんなにいじめっ子の小学生だってこんなこと絶対にしないよ。
わざわざそんなことまでして、わたしをこき使いたかったのかな?
だってわたし、立花くんの"大事な教科書"だもんね!!(嫌味)
「ねぇ立花く───」
立花くん、なんとか言ったら、と言おうとした、
のに。
言えなかった。