【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
わたしが飛びのいたとほぼ同時、
数学の先生の怒号が教室中に響き渡った。
「……」
「……」
一気にシーンと静まり返った教室。
視線が一度にわたしたち二人に集中した。
さ、さいあくだ……
冷や汗をだらだら流すわたしとは対照的に、彼はなぜか、わたしを見てまた意地悪な笑みを浮かべてる。
まるで他人事。
あなたも一応怒られてるんですからね…!
「罰としてお前ら二人、今日から1週間放課後、俺の雑用係だ!」
えええーっ!?
そ、そんなぁ…。
わたしが泣きそうになっていると、隣からクスクスと楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
見ると、立花くんが笑顔でこちらを見ていた。
「残念だったな〜成田。"きらいな俺"と1週間一緒だとよ」
なんで……明らかに先生の都合のいいように使われてるのに、そんなに嬉しそうなんだろう。
なんで、結局いつも立花くんの思い通りになってる気がするんだろう。
なんでなんで……
なんでなの!?