【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
「はい、取れた。
こうして見ると、おまえってホント小せぇな」
そして追い討ちのように、ポン、と頭の上に手を置かれる。
なにこれ! なにこれ!
なんで立花くんなんかに、わたし、ドキドキさせられなきゃいけないの?
「どーした? 顔、りんごみたいになってるけど、
もしかして照れてんの?」
その言葉にパッと顔を上げると、
彼は楽しそうにわたしを見下ろしていて。
「わ、わざとやってるでしょ……」
「何が?」
確信犯。 いじわる。 大魔王。
「立花くん今、わざとドキドキさせようとしてる……」
「へぇー? ドキドキしちゃうんだ? きらいな俺にも?」
「……っち、ちが」
「単純ー」
「ご、ごめん……」
「……あのさ。別に、して欲しくないって言ってないけど」
え? それは、ど、どういう───
「……俺にドキドキしてもいいから、」
───え?
立花くんの手が、恥ずかしさでうつむいているわたしの頬と髪の間に差し込まれる。
きれいな顔が、近づいてくる。
「俺以外の誰かに、こんな顔すんなよ。…約束できる?」
すこし笑みを含んだ低音ボイスが
耳元で囁かれた。