【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
そしてまた真っ赤になるわたしを、
立花くんが満足げな顔で見下ろしている。
なんだろ。この変な気持ち。
胸の辺りが、ムズムズして……やだ。
「……ホント、成田ってからかい甲斐ある」
すこし笑って呟いたかと思うと、さっき取ってくれた本を今度は頭に乗せられる。
「そのまま動くと、本、落ちるぞ」
「えっ」
……なんかまた、都合のいいようにからかわれてしまった。
なんでわたしっていつも、こうなんだろ。
「ねぇ、あのさ」
この際、ずっと気になってたことをきいてみよう。
今なら、なんか、きける気がするから。
「立花くんはどうして、わたしにだけこんなことするの?」
他の女の子には、優しいくせに。
わりとクールで、自分から話しかけたり、しないくせに。
どうして、わたしばっかり……
「……それ、もしかしてホントはわかってて言ってる?」
「え?」
「な、ワケねーよな……」
何を、言ってるんだろう。
はぁ、とため息をついて、うつむいた立花くん。
「わかんねーかなー…」
どうやら、立花くんの感覚とわたしの感覚には、ズレがあるみたい。