【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
ふたりで一緒に、声のした方を振り返ると。
「「ネ、ネコ……?」」
そこにいたのは、少しおデブな、三毛猫だった。
弱々しく鳴きながら、まんまるな目でわたしたちをじっと見ている。
「なにおまえ、どっからきたの?」
興味津々な様子で、その子ネコちゃんに近づいていく立花くん。
人馴れしているのか、ネコちゃんも逃げる様子はない。
……って、わたし、このネコちゃんが来なかったら、一体なんて言うつもりだった!?
まさか、
"わたしも、この1週間楽しかったよ"
なんて。
そんなこと、言おうとした!?
自分が意味分かんない……。
「人懐こいな、おまえ」
わたしがそんなことを悩んでる間に、当の立花くんはというと、ネコちゃんを抱き上げてじゃれてる。
そして、ふと気づく。
「立花くん、その子、首輪ついてるよ」
「ん? 本当だ。どっかから迷い込んできたんだな」
「……。ネコ、すきなの?」
「まあ、人並みに好きかな」
……立花くんって、"好き"とか言えるひとなんだ。(勝手なイメージ)