【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
「あの日、実は立花にイタズラをされて迷惑してたそうじゃねーか。で、仕方なく大きな声を上げてしまった、と」
"あの日"って、雑用を押し付けられる原因になった、あのめちゃくちゃ怒られた日、だよね?
「ど、どうしてそれを……」
「ま、とあるスジから聞いてな。……俺なりに、バツにしてはちょっとやり過ぎたかな、とは思ってたんだよ」
「……??」
「そこで、成田に俺からのささやかなお詫びとしてこれを授けよう」
そう言ってゴリちゃん先生が手渡してきたのは、一枚のクジ。
「えっ? でもさっき、わたしもう引いて…」
「いーからいーから。そのクジ寄越せ。それは今日休んでるやつの席にする!」
えええ! そんなことやっちゃっていいの?
なんていうか……自由な人だなあ。
「いい席とっといてやったから。感謝しろよ? じゃあな! このことはくれぐれも秘密で!」
「あっ、ちょっ……」
わたしが引き止める前に、教壇のほうへ帰って行ってしまったゴリちゃん先生。