【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
いいのかなー、と思いつつ開いた紙に書いてあった番号は《30番》。
───あ、一番後ろの窓際の席だ。
……ゴリちゃん先生なりに、気を使ってくれたのかな。
それを無下にするのも申し訳ないし、ありがたく受け取っておこう。
実際、こんないい席、嬉しいし。
" あ り が と "
目が合ったゴリちゃん先生に、口パクでそう伝えると、バチン、とウインクが返ってきた。
「よし! みんなクジ引いたな。 じゃあ明日からこの席ってことで、今日のHRは終わりだ! 解散!」
───立花くんはどこの席になったんだろう。
隣じゃないといいな。
気にはなったけど、もう帰っちゃったのか、立花くんの姿は見つからなくて。
結局聞くことができず。
ま、明日になればわかることだよね。
そう思い、わたしはその日の帰路についた。