【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
「申し訳ないんだけど、違うの。あれはたまたま、弟が貸してくれたやつで……」
「えっ、そうなんだ……残念。でも、弟さん、見てるんだね! 話が合いそう」
「……梶くんは、好きなの? その、ヤメルンジャー…? 」
なんか、意外かも知れない。
高校生の男の子でも、そういうの見たりするんだなぁ。
と、むしろ微笑ましい気持ちでそう言ったのに。
ハッとした様子で顔を真っ赤に染めてしまった梶くん。
「ゴ、ゴメンね……! 急にこんなこと言われても気持ち悪いよね!? つい、成田さんも好きなんだと思って、調子乗っちゃったよ」
「ええ!? 気持ち悪いだなんて……そんなことないよ、むしろ、……い、いいと思う!」
わたしなりの精一杯の言葉をしぼり出す。
だって、なんだかしょぼんとしてて、かわいそうだったから……。
「ありがとう、優しいんだね。成田さん」
「は、初めて言われたよそんなこと」
にっこりと笑う梶くんは、
わたしが思ってたよりずっと話しやすい。
梶くんってこんな人だったんだ……
話してみないと、意外とわからないもんだなぁ。