【完】立花くんは愛し方を間違えてる。




ふてぶてしく返事をしたわたしに、加奈は少し笑って。



「自分のこと本気で嫌ってる人のこと、誰も好きになんてなれないよ。

自分のことを少しでも好きでいてくれてるのがちゃんと伝わってくるから、その人を好きになれるんだと思うよ、あたしは」



「……それって、誰と誰の話してるの?」



「さあ?」




加奈の話は少し難しい。


でも、言ってることはわかる。



……わたしは、立花くんを嫌いにはなれない。


じゃあ、立花くんは、一体わたしをどう思ってるんだろう?


わたしたちの関係って、一体どういうものなんだろう……?




これはきっと、わたしなんかがどれだけ考えても答えの出ない問いかけ。






「加奈、わたしちょっとトイレ行ってくるよ。お昼にお茶飲み過ぎちゃった……」


「分かったよ、行ってきな」


「すぐ戻ってくるね!」


「行ってらっしゃい」




お昼休みが終わる前に、さっさと済ませてしまおう。


わたしは急ぎ足で最寄りのトイレへと向かう。



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