【完】立花くんは愛し方を間違えてる。



しかも、なんでなにも言わないの?


何も言わずに、黙って見つめてくるの!?




「……へっ? な、なに」


「……なんでもない。さっさと行けば?」



焦るわたしに対し、意外とアッサリな立花くん。



「う、うん……」



な、なんだったんだろ、一体……



───ぐいっ



あ、あれ? 手、離してくれない。

……ど、どうして?




「……あの、手離してくれないと、行けないんだけど」


「……」


「……言葉と行動が矛盾してる、よ」




それに、あの、みんな、見てるし。


何事? って不思議そうな顔をするひとたち。



とりあえず、何か言ってください。





「行かせたくない」




え?


でも突然。わたしだけに聞こえるか、聞こえないかくらいの声でそう呟いたかと思うと。


ぐいっと手を引かれて、そのまま引っ張られる。



「ちょっ……ど、どこ連れてくの!?」


「いーから」



よ、よくない気がするんですが……。



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