【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
「1年のときもそうだったけど、ほんっと立花くんに気に入られてんね〜!」
「……あれは気に入ってると言うより、いじめてるんだよ」
花鈴が言う通り、立花くんのわたしへのいじわるは、今に始まったことじゃないんだ。
遡るは、去年の入学初日。
出席番号順で彼と隣になったその瞬間から、わたしの運命は決まっていたのだ……。
立花くんの呪縛(?)から逃れるには一体どうしたらいいだろう……
そんなことを悶々と考えていると、
「立花くんがくるみをどう思ってるのかはしらないけどさ。逆にくるみは、立花くんのことどう思ってるの?」
「へ? わたし?」
そう、と加奈が頷いた。
……わたしが、立花くんをどう思ってるか?
そんなの、決まってる。
「きらい!! というか、ニガテ!!!」
「へぇー、誰が、誰を、きらいだって?」
このときのわたしの心臓は、ほんとに一瞬止まったんだと思う。
それくらいびっくりして、氷のように固まったまま声も出なかった。