【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
真後ろから聞こえる、すこし楽しそうにも思える冷たい声。
振り向かなくてもわかる。
何度も何度も聞いた声だもの。
「ぁ……う、た、たた、たった、立花くん」
「カミカミじゃん。だっさ」
「あの、いま、今の、聞いてたの?」
「聞いてなくても聞こえる。デケェ声だし。てか、おまえ、俺のこときらいだったんだ? へぇー」
「わわ、そ、それは……」
立花くんはうすら笑みを浮かべている。
本当なら、"ええ嫌いですよ、今頃気付いたのか!"くらいは言ってやりたいところだけど、
あいにく、わたしにはそんな根性は持ち合わせてない。
どころか、今の状況、これは完全にわたしが陰口を言っていた悪者。
加奈と花鈴に助けを求めようにも、なぜかこういう時だけふたりはそっぽを向いている。
う、うらぎりもの〜!!
ななな、なんて言い訳しよう……絶対怒ってるよ立花くん……
きらいきらいも、すきのうち!なんつって!
って、ちがーう!!そんなんじゃなくて!
「ま、いーけど」