【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
わたしが必死に言い訳を考えているとき、ふと耳に飛び込んでくる、立花くんのその言葉。
あれ……怒ってない?
てっきり、もっと怒ると思った。
まるで、わたしが立花くんをきらいだって、ニガテだって、知ってたみたい───
そして、それでもいいって思ってるみたい───
わたしがポカンとしていると、
「で、立花くんはくるみにちょっかいかけるためだけに、わざわざ来たの?」
と、すかさず加奈が言葉を挟む。
すこし呆れた顔をしてる。
「……だったら悪いか?」
なんの悪びれた様子もなく、そう答えた立花くんに、わたしは本当に開いた口が塞がらなかった。
「……いいけど、あんまりくるみ、いじめすぎないでよね」
「へーへー、分かってるよ」
つまんねぇの、と呟いて立花くんは踵を返し、立ち去ろうとする。
え、もう帰っちゃうなんてホントに何しに来たんだこのひと……?
でもそのとき、ふいに加奈が口を開いたんだ。
「あ、今思い出したんだけど、そういえばさっきね、くるみに用があるって男子が教室に来てたよ」