フラワーガーデン

「もう、何年も何年もずっと俺は待った。

お前がせめて高校生になるまではって……。

そう思って、家も出た。

ずっと我慢して……。

だけど、それももう……限界……」


リビングに隣接するキッチンのシンクの方から、不規則に水が滴る音が聞こえる。

その音を聞きながら私は必死に意識を保とうとする。


もう、どんなにお願いしても決してかずにぃは止めてはくれないと思う……。


静かな絶望感と恐怖心がじわじわと私を支配し始める。


かすかに感じるかずにぃの指の痛みに顔が歪み、私は顔を横に振る。


かずにぃは私の涙を拭いながら、

「……ハルナ。好きだ」

と耳元で囁く。


< 140 / 1,750 >

この作品をシェア

pagetop