フラワーガーデン
「もう、何年も何年もずっと俺は待った。
お前がせめて高校生になるまではって……。
そう思って、家も出た。
ずっと我慢して……。
だけど、それももう……限界……」
リビングに隣接するキッチンのシンクの方から、不規則に水が滴る音が聞こえる。
その音を聞きながら私は必死に意識を保とうとする。
もう、どんなにお願いしても決してかずにぃは止めてはくれないと思う……。
静かな絶望感と恐怖心がじわじわと私を支配し始める。
かすかに感じるかずにぃの指の痛みに顔が歪み、私は顔を横に振る。
かずにぃは私の涙を拭いながら、
「……ハルナ。好きだ」
と耳元で囁く。