フラワーガーデン
「一応、精密検査を受けた方がいいよ。それから」

「トオル君、話が……あるの」

彼の言葉を遮って、私は勇気を出して彼に真実を告げなくてはと決心していた。

「どうしたの?改まって……。何?」

トオル君はパイプ椅子を引き寄せると、私の手を両手で包み込む。

温かい手……。

だけど、私はこの手を離さなきゃいけないんだ……。

(トオル君、別れて下さい。私は、昨日の夜、あなたを裏切って他の男の人に抱かれました。)

言わなくちゃ。
言わなくちゃ。
言わなくちゃ。

だけど、涙が次から次へと溢れ出て、言葉が出てこない。


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