フラワーガーデン
トオル君は私の手を握り、通りに出ると手を上げてタクシーを止めた。

「葉山へ」

行き先を運転手さんに告げると、私の手をきつく握り締め、「おいで」と言った。


車中、トオル君は片時も手を離さない。

タクシーは、オレンジ色のテールランプを引きながら、どんどん料金メーターを上げて走っていく。


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