【完】午前0時日付が変わっても
たしか、再会初日に冗談で聞かれたあの時は、とっさに違うって首を振ったんだった、私…!
ちゃんと言わなきゃ、千景くんに知ってもらわなきゃ。
一呼吸おいて話そうと、少し俯いたその瞬間。
千景くんはその両手のひらで頬を挟んで強引に持ち上げた。
「じゃ、なんなのこの顔」
「っ…!」
わ、わかってるよ!
はっきり自分が顔赤いこと、ちゃんと自覚してる。
だから指摘されるとさらに恥ずかしくてもう耳まで熱い…っ
千景くんだって、私に触ってる手のひら、熱いでしょ?
「俺じゃないなら誰?おまえの好きな奴」
焦燥感を浮かべた瞳が小さく揺れている。
あんまり余裕なさそうな声の千景くん。
きゅっと結んだ私の唇に親指で軽く触れられて、だんだん頭がうまく回らなくなってきそう。