【完】午前0時日付が変わっても
ホームに電車が入ってきたのを千景くん越しに見て、掴んでいたシャツに視線を落とす。
また時間切れになっちゃった…
「――いいよ。俺の彼女、なって」
ぎゅっと、触れられて伝わる体温。
離しかけた手を今度は千景くんにとられた。
っえーー…!?
いちばん聞きたかった、望んでいた返事だけど…本当に?
夢とかじゃないよねこれ?
「千景くん、今…」
「強気な愛生が新鮮で興味湧いただけ」
そのまま握った手を引かれて、電車に乗ると車内はガランとしていた。
またすぐに降りちゃうので座らず、ドア付近が私たちの定位置。
千景くんが…
千景くんが……!
彼女にしてくれるって言った!
ずっとドキドキして、まだまだ胸の鼓動は鳴り止まなそう。