【完】午前0時日付が変わっても
「ほっとけ。じゃ、もう行くから俺ら」
先に歩き出す千景くん。
とりあえず、じゃあと目を合わせるだけして私も場を離れる。
食べたかったなクレープ……。
その悲しさとまたべつのモヤモヤが重なって心の中がなにかで覆われていくような感覚になる。
「さっきの……深山さんは前の学校の友達?」
「……元カノ」
「そ、そうなんだ! 美人さんだねー……。聖菜ちゃんとはまた違った美しさだね」
私はなにがあっても聖菜ちゃん推しだけど。
今ここにはいない聖菜ちゃんのことを思い出して、なぜか急に会いたくなっちゃった。
話を聞いてほしいんだ、きっと。
元カノ出現なんて気持ち穏やかにいられるわけがない。