【完】午前0時日付が変わっても
#8_千景くんにお勉強して来いと言われたので
連休明けの学校はなんだかいつも以上に騒がしい。
私がみんなの視線を受けていること、話題に上がっていることに気づいたのは昼休みのことだった。
いつも混み合う女子トイレに入っていくと、たまたま隣にいた女子たちの会話が耳に飛び込んでくる。
「山咲くんと写真に写ってた子って……だよねえ?」
「出た、噂の彼女」
「うわぁ、彼女できちゃったんだー。でも私はそれでも勝手に好きでいる!」
ええと、明らか私のことだよ、な?
鏡の中で目があったので、しばらく見つめていると鋭い視線が直に向けられる。
「あの山咲くんと付き合えたからってそんな勝ち誇ったような顔で見ないでくれる?」
「そ、そんな顔なんて」
「してるっ! ムカつく!!」
えええ……?
「もう行こっ」
「あ……!」
バタンと大きな音を立てて扉が閉まった。
待って、と引きとめようとした手が行き場を失う。