【完】午前0時日付が変わっても
「俺の好みねー……」
「…っ」
「裏切らない人」
「え?」
聞き落としちゃいそうなぐらい、声小さくて。
でも、ぽろっと本音が出ちゃったみたいな。
そんなふうに感じた……
千景くんの胸におでこをくっつけていた私は、パッと顔を上げた。
千景くん…?
私がじっと見つめてるのに、ぼんやりとどこか一点を見てて、焦点が合わない。
「千景く…」
「……あ、いや。俺の心も身体も満たしてくれる人、だな」
さっきの言葉を取り消すように。
深く意味なんて聞かせてこないように、千景くんの視線が私と交わる。
「……っ」
頰を撫でられ、その指にピクっとなる。
肌の上をゆっくり滑り落ちて、首筋を辿っていくその指先に全神経が集中していくような感じだった。