【完】午前0時日付が変わっても
すぐに離してくれた、けど
完全には離れてくれなくて。
再び触れるか触れないかの距離で止まったまま。
視線をチラッとあげれば、私の様子を伺うようにするその目とぶつかった気がした。
「っ……う、あ……」
したい、って…言ったけど!
立っているのがやっと。
今すぐにでもこの場にしゃがみこんでしまいそうで。
ふらふらっと後ずさる私を見て千景くんは口角をあげた。
「愛生がしたいって。だから、ね?」
そうだけど。
そうだったけど!
心の準備もさせてもらえないまま完全なる不意打ちって。
「キスだけで満足するわけねーけどな」
「頑張ります……」
「ふはっ、ちゃんと意味わかってんの?」
「わわわかってるよ」
「キスだけでこんなふらふらしちゃって。純粋すぎねーか?」
「っ……」