【完】午前0時日付が変わっても
近距離に顔があることを感じてピタリと動きを止めた。
そんな私に気づいているのか、ないのか。
お構いなしに腕を伸ばしてノートのページをめくっていく。
あの、近い。
近いよ、千景くん!
「私がノート書いてあげよっか?」
「じゃあ私はべつの教科を!」
わああ、待って急にみんなが集まって来た!
千景くんのノート争奪戦これから始まるっぽい……?
当の本人は「あー…どうしよっかな」なんて曖昧な返事で。
ちょっと千景くんっ?
本気で人にやらせようって思ってるわけだ。
ノートぐらい自分で写しなよ。
…そう思うんだけど、仕方ないから今回はやってあげましょう。
彼女だし!
他の女の子にお世話になるのも申し訳ないし!
「わかったよ。私やります!」
「だそうです。皆さんありがとー」
千景くん、その笑顔はずるいって。