【完】午前0時日付が変わっても
目を伏せると一粒の涙が床にこぼれ落ちた。
泣くと思わなかった…
泣いてる感覚なんて全くしなかったので、突然のことに自分でもびっくり。
やだな。
千景くんに見られる前にーー……
「愛生はどうしてほしいの?」
「っ、もう言った……」
手の甲で目元を拭おうとしたところ、腰を引き寄せられてさらに2人の距離が縮まる。
さっき、言った。
彼女だと、俺のものだと言ってくれって。
涙声に伝えたものの千景くんにはきっと全部伝わらない。
「俺のせいで泣いてんならごめん」
俺はこんなだから。
これからもこのままだと思うから、ごめん。
誰にも本気にならないよ。
そう言われてるようでさらに涙が溢れて来て止まることを知らない。
そんな“ごめん”なんていらないよ、千景くん。