【完】午前0時日付が変わっても
きゅっと固く結んだ唇はこれ以上もう泣きたくないって。
我慢の証拠。
涙、止まって。
なにかを考えていたのか、伏し目がちになっていた千景くんがすっと視線をあげる。
それがなにかのスイッチが押されたように。
私たちの間に流れていた雰囲気がガラリと変わる。
後頭部に回された手に力が加わっていき、目の前の顔がどんどん近くなって目を閉じる。
「っ…」
ずるい、千景くん。
こんな時にキスなんて。
好きの言葉の代わりにとでも考えているの?
本音をこのキスで隠しているんなら読み解きたいけど、私にはわからなすぎる。
千景くんがわからない。
「…愛生、座って」