【完】午前0時日付が変わっても



きゅっと固く結んだ唇はこれ以上もう泣きたくないって。



我慢の証拠。



涙、止まって。




なにかを考えていたのか、伏し目がちになっていた千景くんがすっと視線をあげる。



それがなにかのスイッチが押されたように。



私たちの間に流れていた雰囲気がガラリと変わる。



後頭部に回された手に力が加わっていき、目の前の顔がどんどん近くなって目を閉じる。




「っ…」




ずるい、千景くん。



こんな時にキスなんて。



好きの言葉の代わりにとでも考えているの?



本音をこのキスで隠しているんなら読み解きたいけど、私にはわからなすぎる。



千景くんがわからない。




「…愛生、座って」



< 257 / 416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop