【完】午前0時日付が変わっても
――始業チャイムが鳴るまで残り5分。
もう席についてなきゃいけない時間だけど、私はまだ校門の外にいた。
なんとかベッドから抜け出して新品の夏服を引っ張り出してきて。
重たい足を向けて学校には来れたものの……。
はぁ、
小さなため息がこぼれる。
「お迎えにあがりました、お姫様」
「……天使の次はお姫様なんてバカにしてるよね、前園くん」
「してないしてない! おはよー。入らないともうすぐ遅刻っすよー」
ぐいぐいと背中を押されて前に歩き出す。
「下駄箱付近歩いてたら愛生ちゃんのこと見つけてさー。俺、視力よすぎじゃない?」
「…だね」
千景くんと前園くんは頻繁にやりとりしてるみたいだし、
たぶん私たちが別れたこともう知ってるのかな。
「千景くんにふられた」