【完】午前0時日付が変わっても
「隙だらけだから他の男の腕の中に簡単に閉じ込められんだよ、愛生」
「あ、あれは!突然で…」
靴を脱いで上がると後ろからぐいぐい千景くんに背中を押される。
そんな急がなくたっていいじゃん!って内心思いながら、リビングへ。
ソファではなく、いつもご飯などを食べているテーブル席に。
向かい合って座るなんてこれから改まった話をするんだよね。
「愛生に甘えて、泣かせて…ごめん」
ちょっと身構える。
少しの緊張が体中を駆け巡る。
「大知先輩ならって思ってたけど……無理。愛生のこと誰にも渡せねーって思った」
「っ…!」
「愛生のこと、大事にする。…俺が、ずっと」
ゆっくりと伝えてくれる千景くん。
気持ち全部ひとつも溢さないようにすべて、届くように。
そんなふうに伝わってきて私は瞬きもできないで、見つめてしまう。