【完】午前0時日付が変わっても
トン、と軽く背中を押される。
前へ一歩進む。
もう振り返らないでいいから、そのまま歩き出して。
ここでお別れねって、言われてるみたいだった。
「じゃあ千景呼んできて」
「……はい!」
うまい言葉も見つからず、私はただ前を見てそのまま駆け出した。
いつもありがとうございました、先輩。
心の中で何度も繰り返して。
「千景くん」
「終わった?」
「うん。ここで待ってていい?」
「いて。すぐ終わるから」
先輩の元に向かう千景くんを少し離れたところで待つことにした。
どんな話するんだろう。
気になるけど、聞いても関係ないからと言われて答えてくれなそう。
千景くんだもんね。