昨日の友は今日の恋人!?~甘い視線で迫られて~
番外編3 アラサー女たちの恋愛事情
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番外編3 アラサー女たちの恋愛事情


「はいはいはい、ビールきたよっ。紫乃、相変わらず手際いい~。よっ! 焼き肉奉行っ」

なんだかな……褒められても微妙。

そんなこちらの気持ちを知ってか知らでか、桜は中ジョッキをかかげてニッと笑った。

四杯目の生ビールに差し掛かった辺りから、彼女のテンションがみょうに高いのは気のせいじゃないみたい。

「それって奴隷のまちがいじゃないの?」

桜に連れてこられた店は焼き肉屋さん。それも洒落っ気よりも食い気が優先の店だ。背もたれが腰の半分しかない木のイスと、肘をつくのに一瞬迷うような脂が染みついた木のテーブルが、二十くらい並んでいる。

炭火で焼く焼肉はおいしいけど、熱気とアルコールで胸と背中には汗がにじむくらいに暑い。

七厘の真上のやたらとでかい換気ダクトが一生懸命焼肉のにおいを外に押し出そうとしても、この煙の勢いじゃ無理ってもので。すでに私にも美味しい匂いが染みついてるにちがいない。

「紫乃、ずっと忙しくて私に『貸し』を返せなかったしょ? だからそろそろ返したくなってるんじゃないかと思って」

いやいや、日ごろ迷惑はかけてるけども。

その迷惑料を焼肉で返せって、横暴じゃない? 桜さんよ。

「紫乃はラインからまで幸せオーラ垂れ流してるしぃ、奏多君は最近仕事のほうもますます絶好調で公私ともに充実してるって感じだから」

「それで焼肉なの?」

怒涛の年度末が過ぎた四月になって、ようやく奏多と休日デートが楽しめるようになった。
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