昨日の友は今日の恋人!?~甘い視線で迫られて~
グルグルと思いを巡らせてはみたものの、『行く』といったからには後にも引けず。乞われた通り、土曜日の予定を空けて、奏多の勇士を観戦することになった。

奏多が今まで女連れでフットサルに行ったことがないと知ったのは、実際に練習試合を見ていたときだった。

『奏多が連れてきたよ』
『マジか、初めて見たなぁ』
『あいつでも、彼女にいいところ見せたいのか』
『あれか、大学のときの』

それも奏多の友人たちの、ヒソヒソ話にしては大きい声が教えてくれたのだ。

脇のベンチから聞こえる話声は好奇心に満ち溢れていて、赤面ものだ。

それでも表面上はすべてを受け流して、試合に出てる奏多を見てるふりをしていた。

私のモヤモヤは杞憂だったけれど、そのせいで別の意味で彼ら好奇の視線にさらされるはめにあうなんて。

……奏多のヤツ、こっぱずかしい時間になるのを知ってて画策してたんだ。ぜったいそうでしょっ。

休憩タイムは奏多指定の差し入れタイムになった。高校のマネージャーよろしく、三つのタッパーに分けて大量に作った〝レモンのはちみつ漬け〟をみんなに回すと『お~懐かしいっ』の声があがる。

奏多は『いいだろう』と得意げに答えて、私を自分のテリトリーに迎え入れるべく、改めて自分の仲間たちに紹介しはじめたのだった。


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