昨日の友は今日の恋人!?~甘い視線で迫られて~
いや、それよりも。 そんなのは初耳だ。

彼の案外まともな発言に驚いた。

軽い恋愛ばかり追い求めていた人間は何処へ行った。


「奏多、落ち着いちゃったんだ……と言うより、とうとう枯れた?」

「言ってろ。お前こそ、いつまでも夢みたいな恋愛観語ってんなよな」


新人だ若手だと言われてるうちに気が付けば、もう中堅と呼ばれる三十路に差し掛かる私。

いや、奏多もそうでしょ。同い年だもん。

でも、男と女の三十路は微妙に違うんだよね、この世の中の世間様の見る目がさ。

『まだ』と『もう』の違いは切実だ。

いつまでも若いと思うなってことなのかなぁ、なんて、吐く息も重くなる。


「……なんか、空しい。失恋した挙句、奏多と飲んでるの」

「何言ってんだよ。また、お前が男と別れたって言うから、こうやって励ましてやってんだろ?」

「また、は余計ですぅ」


大体、奏多に私を励ます気なんてあるのか。
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