昨日の友は今日の恋人!?～甘い視線で迫られて～

「俺と勝負して」

「……何の？」

いつもの奏多じゃない雰囲気に、押され気味になる。
私は思わず背筋を伸ばした。

「決まってんじゃん。お前の全然好みじゃない俺とデート１本勝負」

私の驚く顔を見て、笑みを浮かべる奏多。

その悪戯っぽい顔に、止めてた息を吐き出した。

「何だ、冗談かぁ。びっくりした。 奏多こそ、重たい女はゾッとするって言ってたじゃない。私多分、その代表格だもん」

一瞬、本気で口説かれたかと思った。

「……さっきも言っただろ。それ、いつの話しだよ」

「本気で言ってるの？ どうしちゃったの」


奏多と私が？


「大義名分が必要なら……そうだな。ついでに、お前がどうして振られるのか俺が見極めてやるよ」

「見極め？　教習所みたいなこと言わないでよ。そんな理由でデートなんて、どっかおかしいんじゃない？」

私が呆れて彼を見詰めると。

「明日は俺、休みだから明けといて」

奏多の奴は、事も無げに色付きの笑みを投げて来た。