無敵な彼女
尚も母がじっとりとこっちを睨んでくるので、仕方なく口を開く。
「学校の人たちに……『月影』の娘だってバレたくないの」
私の父親は……
世界ナンバー1暴走族、「月影」の2代目総長。
そんでもって目の前のこの人は、そんな父を陰で支えている「月影」副総長だ。
私は次期、引退する父親から総長の座を受け継ぐはずだった。
でも……
「本当に……総長の座を捨てるのね、凛」
「……」
母親の問いかけに、私は静かに頷いていた。