LOVE School LifeⅡ【完結】
「だから、まじで愛ちゃんに何もしないで。
俺、愛ちゃんが悲しい顔してるの、本当に辛い」
「……」
「ね?沙紀」
「何でですか」
「ん?」
「何で、私じゃダメなんですか」
沙紀さんは目に涙を溜めて秋人の顔を真っ直ぐに見ていた。
それはあまりにも真っ直ぐで、思わず息を呑んでしまうほど。
「……あのね、清ちゃんの言葉一つだけ訂正しておく」
「え?」
本間は間の抜けた声でそう言った。
秋人は少しだけ眉を下げて、口を開く。
「抱いた女が対象外なんじゃないよ。
自分から抱きたいと思う女じゃないって事が対象外なんだよ」
「……」
「俺、沙紀に抱く前も後もキス、一切してないよね?」
「……」
「それはしたいって思わなかったから。
でも、愛ちゃんは違うの。何度もしたいって思ったんだよ」
秋人のキスには、そんな想いもあったんだ。
そして、私は秋人の中でどれだけ特別な位置にいるんだろうと思った。
麗さんに辿り着かなくたっていい。
秋人の中での、特別なら。
我ながら何て都合いいって思うけど。