LOVE School LifeⅡ【完結】
「家具とかどうしたんですか」
「ああ、もう引っ越し先にあるよ」
「引っ越しってどこですか」
「あー、えっと住所住所。見慣れない地名だから覚えてねえんだよな」
頭を掻きながら言うと、ゴソゴソと麗さんは近くにあった自分のカバンから何かを探す。
それから、あったあったと紙を取り出した。
それを私に差し出す。
「これ、私の住所だから」
伸ばされた手から、その紙を受け取った。
そこまで遠くもない。
引っ越す理由なんて、なさそうなのに。
「んで?話って何よ。もう片付けはほとんど終わってるし、丁度良かった」
まあ、座れよ、って促されて、私はコクリと頷き畳に腰を下ろす。
壁に寄りかかり、片膝を立てると私の言葉を待つ麗さん。
「引っ越し、明日って聞いて」
「ああ、うん。見ての通りだよ。
元々探してたんだよな。そんで、いい物件あったから決めた」
「あの」
「ん?」
優しい瞳で私を見る麗さん。
今まで、色々と我慢してたんだ。
こうやって色々と。
それは秋人ととっても似てるって思った。
太ももに乗せた拳にぐっと力を入れて、私は切り出した。