LOVE School LifeⅡ【完結】
「……行って?」
「……え?」
「麗さんの元に今すぐ行って」
それを聞いた秋人は手首を掴む手とは反対の拳でドンっと壁を思い切り叩きつけた。
私に対してここまで苛立った表情を見せた事がない。
「何で、愛ちゃんはっ……!!」
悲しさや怒りを含んだ声。
だけど、私が怯む事はない。
真っ直ぐに見つめ返すと、秋人の顔がみるみるうちに歪んで行く。
「……くっ」
拳は力を込め過ぎていて、血が出ていた。
でも、その手を取ってやる事が私には出来ない。
「……ごめん」
そう俯きながら言った秋人はこの場を去るまで、私の顔を一度も見なかった。
いなくなって、私はその場所にずるずると崩れ落ちて行く。
震える手で、痛いぐらいに掴まれた手首を押さえる。
わかりきってたんだよ。
こうなるって。
この選択をした時から。
だけど、どこかに微かな希望を持っていた。
あり得ないのに。
寧ろ、私がそう仕向けたのに。