ミステリー
畠山たちが卒業し、
新入生が入ってきた頃。
新入生のひとり、綾羅木由香里は
たまたま、図書委員会にはいった。

ようやっと学校生活になれてきた7月はじめころ。
綾羅木由香里はじめ図書委員のメンバーは、
新しい図書室にする予定の教室へ
あつまった。
今日の作業は
この前の委員会の時運んでおいた図書室の書籍を
本棚へ運ぶことだ。

綾羅木由香里はじめ
図書委員のひとたちは
まじめに本を本棚へはこんでた。

すると、本を運ぶ作業中、
3年生で図書委員長の
田中という男子が(名札にはクラス名とフルネームがかいてる)、
アクシデントで足を踏んづけてしまった相手に
あ,ごめん,と謝ったが、
相手が、同じく3年生で
3年3組の一ノ瀬修子(いちのせしゅうこ)だと
わかると、
「あ、なんだ、一ノ瀬か。
だったら別に謝る必要もなにもないよな」
と言った。

それを聞いていた
田中と同じ3年生の山田という男子が
苦笑いしたものの
注意はしなかった。
一ノ瀬修子は、悲しそうにしたが
泣きたいのをがまんするような
悲しそうな苦しそうな目で
半泣きで
まじめにまた
本を運ぶ作業を続けていた。

先月と先々月も
田中は、
一ノ瀬修子にだけ
ひどくきつい言い方をしていた。
他の子にはきつい言い方しないのに。


綾羅木は、
「自分に嫌なとこがあるのなら
言ってくれれば直すのに。
はっきりと言ってくれればいいのに。


うちなら、
はっきりと直接言ってもらいたい。

なんであんなモラハラみたいな
こというのかな?」

と思ったが
上級生にたてつくような勇気が持てない。
一ノ瀬さんを気の毒にはもちろん思うけど。
うちは
勇気ないのかなと、
ちょっと自責の念を感じた。


すると次の瞬間、綾羅木由香里のとなりに
見慣れない美青年が現れた。
うちの学校の制服きてるけど、
中学生よりおとなびてみえるし
図書委員にこんな人はいない。
転校生かな?


「お前は優しい奴だな。
なに、モラハラ人間には同じ制裁くだるよ。」
その美青年が綾羅木由香里へウインクし、指をパチンとたたき、本を運ぶ作業てつだってくれた。


だれだろう??


すると次の瞬間
図書委員長の姿がきえた。

「あれ?あいつどこいった?」
図書委員長の親友の山田がきょろきょろする。


あらかた、全ての本を本棚へはこんだとき
図書委員担当で、一ノ瀬修子の
担任である浅野真由子先生がはいってきた。

「みなさん今日の委員はこれでおわりです。
あれ?
委員長だけいませんね。」

「あいつ途中でいなくなって」
と、山田。

「どこいったの?」

「それもわからないです」



その頃の田中は
隣町にいた。
いつのまに学校から、
隣町に、移動してたのだ。
田中のちかくにヤクザみたいな危なそうなおじさんが
1ダースほどいる。

そのヤクザみたいなおじさんたちが
ぐるっと,田中をとりかこんでにらんでいる。

「いま、このガキが
俺にぶつかった上
ぬけて何も役立たねえアホな奴になら
人権も謝る必要もなかったとそう言いました」
と、ヤクザの1人が他のヤクザにそういう。

ヤクザ達はみんな
鬼みたいな形相なる。


彼は
そんなこと言ってない
と何百回もいうが
ヤクザたちは聞いてくれない。


彼は、
今度は自分よりも明らかに強い有利と思われる相手から
睨まれて、標的にされてしまった。



その日の夜。
一ノ瀬修子は、自室にしいた
布団の中で泣いていた。

一ノ瀬修子は
自分は死を選ぶべきかと
小6の時と同じく今も本当におもっていた。
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