ミステリー
歌い終わると、光は理代にたずねる。


『理代ちゃん、学校は楽しいかい?』


理代は、一瞬黙ったが、


『んー、楽しくない時もある。


別に意地の悪いことされてるわけではないんだ。

ただ、
中瀧くんを別にすると
クラスでも、交友関係全体でも、
私仲良い人が三人しかいなくて、
その三人も、小学校の時から仲良い人たちで、向こうから私に話しかけてくれた人たちばかりなの。

私、高校でも中学でも
新しい友達、できなかったの。
社交的じゃないから、私。


その三人に、普段からどれほどお世話なってるかわかんない』


と言った。


『そっか、
理代ちゃんの悩む気持ちはわかるよ。


でもね、自分のペースでいいと思うんだよね、
友達作りなんて。

本当の友達は
いつどこでどんな形で会うかわからないと思うし、
いつかどこかで出来るものだよ。


焦らないのが一番だよ。


他人と付き合うって、
簡単ではない時や
ややこしい時もあるのは確かなんだよ。』


光の言葉に理代はほっとした。

なんだか心が暖かく包まれるようだった。


『今日は、歌って楽しもう』
と、光が笑顔で言った。


『あ、ありがと、中瀧くん!』
< 220 / 303 >

この作品をシェア

pagetop