ミステリー
『ふーん、なら、
俺がお前をとびきりの最高の男に
生まれ変わらせてやろう、
それからでも、
生きるのを諦めるのは遅くないぜ?』

と、悪魔が一幸に言うと、
一幸は、
暗い顔つきのままではあるが、
『なら、騙されたと思ってあんたに任せてみようかな』
と言った。



それから一分後。


悪魔は一幸の部屋のリビングで
一幸とアイスコーヒーを飲んでいる。


『ところでさ、あんた、誰?』
と一幸が悪魔に尋ねる。


『俺は実は悪魔だよ。
信じるかどうかは、一幸に任せるがな』


悪魔はアイスコーヒーを飲み干した。


『悪魔?
へええ。』
一幸は半信半疑の様子だ。

いきなり、自分は悪魔だ、と言われても
すんなり信じ込む人は珍しいだろう。


『ところであの女とは
いつから付き合ってたんだ??
あの女以外にも女なんてたくさんいるだろ』

と、悪魔。


一幸は悪魔のグラスに
ペットボトルのアイスコーヒーをいくらか注ぐ。


『あのさ、悪魔くん・・・
真由美は僕の全てだったんだ!
他の人なんて‥‥


真由美とは二年前、大学3年の時から
付き合ってた‥‥

でも、真由美に、
別れを切り出されて‥』


一幸は泣きはじめ、全く止まらない。


『ったく、それだとまたフラれるぜ!
ったく、情けないやつだよ。

つまりその、
まゆきか、まゆみとか
いう女とは
それまでの関係にすぎなかったんだよ、
もう忘れろよ、
女なんてたくさんいるだろが、女はあいつだけじゃないんだから
別の女に目を向けてみろよ。』


悪魔が言った。
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