ミステリー
『そんなのお、忘れられたらとっくに忘れてるよお・・・・・・・・・。


真由美、僕のすべてなんだ、何があっても離れたくなかったんだ!!』

一幸は泣いていて、自分のアイスコーヒーはほぼ飲んでない。


『へ、やれやれだ・・・・・


じゃ、一瞬で良い、想像してみろ。


一幸が女なら、今のお前と、
付き合いたいとか、まして結婚したい、生涯を共にしたいって
思えるのかよ??


一幸が女なら、今のお前に、なんて素敵な方なんでしょう、ぜひ付き合いしてほしいわ、てなびくか??



一幸が女なら、今のお前に、
彼や、ましてパートナーや父親になってほしいと思えるのかよ?



それと

真由美とかって女に嫌われた原因は、思い当たらないのか??

別れ話の時、それだけでも聞いておけばよかっただろ、


次の彼女が出来た時、大いに参考になるんだから。』


悪魔が厳しい口調と表情で尋ねる。


すると、一幸は泣き止み、黙り込む。


『よーし、だからお前をリニューアルしてやるよ、まずはルックスからだ。
よし、洗面所行くぞ、案内しろ。』
と、悪魔が言い、椅子から立つ。

『え、こ、こっちだよ・・・』


一幸に案内され、悪魔は洗面所に一緒に行く。


『くしとはさみ借りるぞ。』
と、悪魔。

『はい。』

一幸が、洗面台の横の鉛筆立てみたいな箱からくしとはさみを出すと、
悪魔はくしとはさみを取った。


『さんきゅー。じゃ、一幸、しばらくじっとしてろ、動くなよ』


言い終わるか終らないかのうちに、悪魔は一幸の肩より少し長い髪を切り始めた。
その切り方と言ったら、美容師のようである。


『え、あ、あ、あく、あ、悪魔くん、なにを・・・・』


一幸はじっとしつつも、いささか驚いている。


『いいからじっとしてろ。もう少しだ。』


なおも悪魔は一幸の髪を切る。


『ほら、終わったぞ。いくらかイメチェンになったろ。
いくらかさわやか系になったろ。どうだ???』



一幸は、鏡に映る自分を見つめた。


へえ・・・これが僕・・・・・

たしかにさわやかになったかも・・・・
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