ミステリー
確かに髪を切った一幸は、
さわやかさと明るさがあった。



『悪魔くん、ありがとう・・・・・信じらんない、これが僕なんて。』


と、一幸。



『それはどういたしまして。

それよりお前、仕事は何してるんだよ??
2年前、大学3年生だったんなら、今は新社会人のはずだろ。』

悪魔の問いに、一幸は


『実は、去年の秋から、家の近くのスーパーでバイトしながら、
実務翻訳家を目指して勉強しつつ、実務翻訳家の採用試験を受けてるんだ。


でも、採用試験、難しくって、最近も、3社の翻訳会社の受けたんだけど、
全部落ちたんだ。


悪魔くん、実務翻訳って知ってる??

例えば、医学分野とか特許分野とかの文書を翻訳するんだよ。
僕の場合は特許分野と薬学分野を学んでるよ、最近、通信講座も始めたし。


僕、実務翻訳のこと知る前はさ、
翻訳は映画の字幕や、外国の物語の翻訳だけだと思ってたんだ。』


と答える。


『ああ、実務翻訳なら知ってるぜ。
じゃ、早いとこ一人前になれよな。
俺に手助けできることがあれば、するぜ。』

と、悪魔。

『じゃ、僕の部屋に、通信講座の教材あるんだけど、
難しいから、誰かにレクチャーして欲しかったんだ』

と、一幸が言ったので、

悪魔は一幸と一緒に一幸の部屋に行く。


一幸の机には、パソコン、電子辞書、教材やノートや紙の辞書を入れるブックスタンドが置いてあり、机の隣の棚にはプリンタが置いてある。
一幸が、ブックスタンドから教材を一冊手に取ると、
悪魔にその教材を見せた。


『これが、通信講座の、教材なんだけど、やっぱり、難しくてさ』
< 236 / 300 >

この作品をシェア

pagetop