ミステリー
一幸のマンションのキッチンにて。

一幸、一幸の母親、悪魔の三人が
一幸の母親(雰囲気も顔だちも一幸とうり二つ、と悪魔は思った)
の作った肉じゃがと、一幸の作ったミネストローネとタラのムニエルを食べている。



一幸は、いくつか得意な料理を持っている。


一幸は母親に、悪魔のことを紹介した。

自分が自殺しようとしたのを、止めてくれたこと。
時には注意してくれること。
親身に向き合ってくれること。



一幸の母親は、大喜びした。


『まあ、いい友達ができたわ。
一幸に、真剣に向き合ってくれるいい友達が出来たのね。
悪魔さん、うれしいわあ、ありがとう』



『いえ、いえ。
俺、一幸は、実に芯が強く、粘り強く努力できるいい人間と思います。
何よりも、思いやりを持っている点が一番いいと思いますよ。

だからお母さん、一幸を誇ってください。』


と、悪魔は言い、食事を15分ほどで平らげた。



悪魔は夕食後、洗い物を引き受けた。

『ご馳走なったお礼に、
?こんくらいはしますから。』


悪魔が両目をつむり両手を合わすと、一瞬だけでシンクに置かれた食器が全部きれいになった。
次の瞬間、食器は食器棚に入った。



『まあ、すごい!』

一幸の母親。



夕食の後、一幸と悪魔は順番にお風呂に入り、
その後、一幸と悪魔は一幸の部屋で過ごした。



悪魔が一幸の部屋の、スラムダンクやツーピースや、鬼滅の剣、フリーチなどの単行本を読んだり、一幸の中高の卒業アルバムを見たりし(悪魔が、そのアルバムって見てもいいやつか?と尋ね、一幸は、見ていいよ、と答えた)、一方で一幸は英会話の本を読んだ。


『ん?お前翻訳だけでなく通訳もするのか?』


悪魔が尋ねた。


『違うけど、仕事先に時々、外国人のお客さんもくるんだ。
簡単な会話くらいしたいなあ。』


と、一幸。


『そっか、一幸は向上心もあるな。おめー、すごいやつだよ』


悪魔がほほ笑んだ。




日付が変わるころ、悪魔は一幸の部屋の隣の客間で、
一幸がしいてくれた布団に入った。

普段自分が寝ている、800万円相当の高級ベッドもいいが、
普通の布団も寝心地が良い、と悪魔は感じた。
悪魔は、行きつけの悪魔のキャバクラで、
キャバクラ娘三人から順に抱きつかれて
キスされる夢見た。



一幸はこの日の夢で、
昔のいじめ加害者を街で見かけた。 
いじめ加害者が人通り少ない、ビルとビルの間の狭い暗い通路はいると、一幸もあとをつけた。

さっき買った包丁で後ろから滅多刺しにしたくなったが
そこで悪魔が一幸をとめた。


「その最悪なその最低な差別いじめ人間なんかのせいで
殺人者なるつもりなのか?
殺人者となる必要あるのか??
貴様の未来は、その最低ないじめ人間なんかのせいで壊される、台無しにされるほど、価値がひどく低いものなのか?
貴様の未来はその最低ないじめ差別人間なんかのせいで
壊されるようなもんなのか??
あの暗黒な中学の時とおなじ暗黒を
繰り返すつもりか?
貴様の友達が貴様からみな、
離れてくぞ??
そりゃ、
差別いじめやってるやつが全て悪いけど
貴様友達いてくれるならいいだろ?
俺の予言正しかったら
一年後、大学のクラスの同窓会あるんだぞ?
その時貴様が殺人者となったらみんな
がっかりするだろ??
それかんがえたことあるのか??

貴様の大学のひとには、
差別やいじめする悪いやつはいないんだろ?
ならいいだろ???」
悪魔が怒ると、
一幸は我に返った。
冷静さを取り戻す。

そこで夢が終わる。
はっとした。
汗だくになっていた。

キッチンに行き、カフェインなしの
ドドーレコーヒーを飲んで(商品入れ替えのため
半額になってたのを、近くのドラッグストアから
12本買い込んであった)
歯を磨き、Tシャツとハーフパンツに着替えてから再び寝た。



翌日、一幸は起きて着替え、朝食を食べると仕事に行った。


一幸の母親も、近くのホテルに出勤した。


悪魔は起きると、一幸の母親が用意してくれてた朝食を食べると
ー朝食の隣に、一幸と一幸の母親からの、
本当にありがとう、と書かれた書置きが置いていたー
魔力を使い、一幸の家じゅうの掃除をした。


一幸の家は、たちまち、
大掃除をした直後のようになった。
窓も床もピカピカになり
トイレや浴室や、キッチンの換気扇やガスコンロやガスコンロ周りの壁も、綺麗になった。


『さて、一幸の様子でも観察するかね。
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