ミステリー
成田店長は、翻訳文を自分の机の引き出しに入れ、事務室を出ると、
一幸の分も缶コーヒーを持ってきてくれた。


「さあ、栄養補給しようか。


ありがとう、君のおかげだよ、


君のおかげで助かった。」


成田店長が一幸に缶コーヒーをくれた。


『ありがとうございます』


一幸は成田店長にお辞儀し缶コーヒーを飲むと、再び売り場に戻った。


この日、一幸はバイトを終えて家に戻ると、
自室でパソコンの電源を入れ、
翻訳家採用試験に合格した翻訳会社のマイページにアクセスした。

マイページには、たくさんの翻訳案件が表示され、それぞれの
翻訳案件の右端に
『開始する』ボタンがあった。


一幸は一つの案件の『開始する』ボタンをクリックし、
すると翻訳案件の画面が出た。
翻訳案件の右上に『納品』ボタンが出ている。


その翻訳案件は、以前の一幸なら、手こずったであろうが
今の一幸ならば十分に理解できた。

一幸は翻訳文を打ち込み、『納品』のボタンをクリックした。


それから次々と、翻訳案件を翻訳し、納品した。
一幸は、この日の翻訳の仕事で、かなり稼いだといえる。




ついでに言うと、
この月の一幸のバイト代には、特別手当の4万円が上乗せされていた。
翻訳をしてくれた分の手当てだよ、と成田店長がほほ笑んで言った。
< 253 / 300 >

この作品をシェア

pagetop